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気持ちという質量【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第14回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第14回

 

【ジャイロモノレールが話題に?】

 

 編集者が知らせてきた。NHKの番組で自著『ジャイロモノレール』(幻冬舎新書)が画面に出たという。キックスケータを綱渡りさせる競争だったとかで、この本が参考にされたらしい。その影響で本が売れています、と伝えてきたけれど、まあ、数は知れているはず(この方面では心の質量が大きい)。

 本の内容を理解すれば、誰でも実現できる技術であり、再現性が認められるからこそ本に書いた。ただし、ちょっと残念に思ったのは、速度を競うルールだったことだ。本来、長く安定を維持するものが高性能なので、ゆっくり走れる方が優秀なのは自明。落ちないでいられる時間か到達距離を競うルールにする方が技術的意味がある。科学的センスのある誰かが、この点をもう指摘しただろうか?

 

雪が積もった庭園を犬と散策。一日中氷点下だから、水はない。水がないと、犬が汚れないので助かる。雪の日はとにかく暖かい。暖かい冬ほど雪が降る。

 

文:森博嗣

 

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連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」がついに単行本化され発売に! 総頁数:344頁。未公開の書き下ろし原稿(第36〜40回)も収録。視点が変わると、人生も変わる!あなたにとって大切な一冊になるとお約束します!

 

「無事」を重ねることが、人生の成功である。少し気をつけていれば、誰でもできる。ときどき予期せぬ不運が襲ってきても、また少しずつ無事を重ねて挽回していけば良い。勝たなくても良い。負けても良い。またの機会を待てることこそが、成功の価値なのである。(第35回「充実した人生に唯一必要なもの」より抜粋)

 

◉人生はプログラミング◉水を差しにくい社会◉話し上手と書き上手

◉老人になっても社会人である◉余計なものを持つことの価値

◉気持ちという質量◉「潔癖社会」純度上昇中◉ジェネラリストは存在しない?

◉どうなれば成功なのか?◉適度な自己中のすすめ◉アイデアを思いつける人

◉思いつきの手法◉新しい価値は無駄から生まれる◉頭は知識で肥満になる

◉楽しければそれで良いのか?◉効率か快適か、それが問題だ

◉自己利益が最重要な方針◉作るために必要なこと

◉一人でいることは、自由の象徴◉充実した人生に唯一必要なもの

◉AIが活躍する未来って?◉的確な質問をする能力

◉ネットのモラルはこれから◉フィクションを楽しむ条件

◉いつ死んでも良い生き方とは etc.

オススメ記事

森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

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